けんたの気持ち
2019-07-01 14:40:00
「自分らが来て何してくれるんや?私の病気を治してくれるんか?」
3年前に初めて出会った時のA氏(当時77歳)はそう言って丸めた背中をこちらに向け、ベッドに寝転んだまま震えて動かなくなった手足を見つめているだけでした。
多系統萎縮症という難病で寝たきりになったA氏。進行性の病のため訪問看護が導入されましたが、最初はとても受け入れが悪かったです。
《病気を治すことは出来ないけれど、少しでもA氏が以前と同じように生活出来る様、楽しく過ごせる様、お手伝いがしたい!》という想いで訪問を続けて行った結果、本当に少しずつですが私達と向き合ってくださるようになりました。
リハビリも始めは拒否されていましたが、もともと手先が器用で物作りが大好きという背景を生かし、作業療法士がA氏の生活や希望に合わせたプログラムで介入していきました。
単に身体を動かしたり指先を動かすといったものではなく、まずはA氏が「どんな風に毎日を過ごしたいのか?」を大前提に、その為に必要な動き、そして何より御本人のやる気を導き出すべく本人のペースに合わせて寄り添い進めていきました。
座位訓練から始め、ベッドから起き上がれる様になってから、最初はボードゲームをしたりパズルをしたり、最終的には何と、彫刻刀を握り私達のステーションの看板を彫ってくださるまでに!!
こうしてお話していると簡単な事の様に見えますが、その取り組みには長い月日がかかっています。
その人らしく活きていけるよう、一緒に考えて寄り添い、同じペースで進んでいく、その結果患者様も私達も楽しく活きる。
私達も癒され成長し続けていける!本当にありがたいお仕事です!